「月刊・シムーン・ファン〜4月号記事より転載」

対談&執筆者:グラギエ " フ "神聖執政官

日本語翻訳:ユイ

聖なる我らが國の宝、若き少女諸子の皆さん、今回は敵国であり侵略者である"アルゲントゥム礁国"
の機体について、
私の知る限りのことを伝えましょう。

かの国には、優れた科学力があります。それはテンプスパティムの加護により素晴らしい発達を遂げた、
シムラークルム宮國(Shimurarcrum)を別にすれば、大空陸随一のものです。

これらは、彼女らの母船である、危険な引火性ガスを使った浮揚船から発進したと思われる機体を、我らが
空母 ”アルクス・プリマ ” の超望遠カメラで撮影した写真です。
彼女らの母船には、わずかばかりの装甲はありますが、引火性の高い浮揚ガス式の飛行力学や、標的と
しての船体の大きさを考えれば気休めに過ぎません。

一方で、我がシムーンと実際に対峙するのは、パルたちが俗称で”竹とんぼ”と呼ぶこの写真の機体です。

これらの機体は我々の機体と同様に揚力ではなく、浮力で飛行しますが、一方で”ただ飛んでいるだけ”です。

戦闘用の機銃装備の護衛戦闘機・長距離型に加えて、今回戦略偵察用の長距離型も確認されました。

この航空機は敢えて、自重を支えるのにわずかに足りない程度の浮力ボンベを、
その本体装甲の下に持っています。
これにより、機動性を向上させて横風の影響を受け難にくいという利点と、撃たれた時に引火する投影面積が
小さいという利点を持ちました。
これによって不足する推力は、巨大なプロップ・ローターによって補われるようになってます。

(訳者ユイ注釈: V-22 オスプレイの記事を参照)

また、機体の上下に長方形のプレートが装着されています。これらは揚力を産み出し、補助的な翼の機能を果たすとともに、飛行船に繋留されているときは、クリップカートリッジのハードポイントとして、更には装甲版の役割も果たします。
特に下部のプレートは降着装置の収納スペースにもなっているという奇妙な構造です。

プロップ(・ローター)の回転に伴うトルクは、低速回転に加え、上下2枚の長方形の安定版のキャンバー(翼形状)のオフセット(偏心)で吸収しているようだが、大直径プロペラ故、対策は完全ではないようです。

しかしながら、ガス爆発の危険が完全に無くなったわけではありません。
操縦席にまで詰められた浮力用のガスから身を守るため、この独りきりの敵国のパル(操縦者)は、
ゴーグルにヘルメットを完備し、更に全身防護服を身にまとわないとならないのです。
なんと窮屈で憐れなことか。

翻訳者注記: パラシュートは失われた技術なのでしょうか?

彼らはそれが「神から与えられた乗機」であることで、墜落など、起こり得ない、それを考えることは不謹慎だと
思っているように思います。 (ダチョウアルゴリズムの理論)
しかしそれを思うのは、軽率です。

これまで、それはそれでうまく行きました。
しかしながら、これから戦闘が激化すれば、安全対策と脱出装置は将来、必要になるでしょう。
*( Zvezda K-36DM、 ゼロゼロ射出座席、およびマーチン・ベイカー・マーク7射出座席などの装備…)
 







今回の戦闘でも、ほぼ全ての遭遇の機体が、シミレ・シムーン(練習型のオリジナル”シムーン”の劣化コピー)
の音速飛行に伴う衝撃波で全滅しました。

一方で、我がシムーン機を落とすのは、重要部分かパル(訳者註:パイロット)に当たらない限り不可能です。
これは本機に引火性の部分や、爆発危険性のある部分が、ヘリカル・モートリス(訳者註:モーター)の構造上
存在しないことによるものです。

i
今回の戦闘において、新しい機体が確認されました。
これは撃墜した敵機のガンカメラ及び偵察型の通常カメラに残っていた、乾板フィルムを当方で現像したものです。
赤外線カメラ(白黒)の装備が確認出来ます。

また、今回、落下式の使い捨ての増加装備の確認がなされました。
これには、推定ですが、予備の化石燃料発動機用の液体、そして長距離行動で自然減少した浮力ガスを補充する
為の予備のガスタンク、さらには、電気装置やカメラ作動のための、飛行中の大気対流により駆動する風車発電機が
装備されています。 (本体駆動用の補助のものでないことは、ピッチと回転の向きが逆なことで理解されます。)


敵機の発進形態は不明ですが、母艦となる申し訳程度の装甲をした飛行船から、クリップ状のフォルダーに数機ずつ
が束ねられて、これを開放することで空中発進をして侵攻したものと思われます。

しかしながら、通常の離陸及び着陸はどのようにしているのかについては未だに謎が残ります。
敵機の残骸から推定した範囲では、この巨大なローター状のプロペラを折り畳むか。回転軸を傾けるしか方法が無い
ように思います。


一方で予備浮力がない状態で、離陸着陸時にはロータープロペラが使えないことから、離陸に必要な浮力を稼ぐのに、
”ジャトウ” や ” ラトウ ” のような補助装置が必要になるかと思いますが、彼女らの技術から考えて固体燃料かつ
火薬による離陸補助装置が妥当と推測されます


訳者注
JATOは、Jet Assisted Take Off  の頭文字で、 (ジェット補助離陸促進の意味です。)
RATOは、 Rocket Assisted Take off  の頭文字で、 (ロケット補助離陸促進の意味です。)




戦略強攻偵察型のアルゲントゥム礁・国家の”竹トンボ” (ドラゴンフライ) 
当方のコードネームであって、彼女らの固有の機体名称ではない。
撃墜した機体から、当方のアルクス・プリマを撮影したと思われる写真(当方で現像済み)
シミレ・シムーン(練習型)のため、リ・マージョンを行うことは出来ないが、
今回志願兵” アーエルに”よって、「遷音速飛行に伴う、衝撃波による敵機の破壊」
が充分可能jであることが確認された。
偵察型”竹トンボ”から、撮影されたもの。遠くに本艦”アルクス・プリマ”が見える。
近接戦闘に入る前に増加装備を落とす敵機。
上記同様に撃墜した敵機のガンカメラが撮影したものを現像したもの。